空中に

室生犀星

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われ文章をつづらんにもの懶く あぢはひ悲しければ けふもヒツポドロムを見にきたりつ、 そのなかに空わたりする マテニと云へる露西亜のをんなのありき、 肥えたるからだに肌衣を着け 露き出しの手と足とをもて おのれ空中を泳ぎまはり せん方もなく危なげに悲しくぞ見ゆ。 げにわが文章もかく いのちがけならんには こころ栄えんものを などて溜息しつつわれの眺むる。 空わたりするとき そのからだ空にかかりてありき、 人のからだ空に見ゆるときの なんぞ美しく柔かき その足するどく反りかへり悲しくぞ見ゆ、 佗びしくぞ見ゆ。

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