西日の中

室生犀星

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片側町に夕日が射してゐて 蠅が一杯舞うてゐる 金色の波がゆれてゐる その暑いなかを私は立止つて眺めてゐる ふいに私は思ひ出したことがある 蠅にまみれて坐つてゐた姿を きたない町の軒さきで じりじり西日にいられてゐたことを思ひ出した 西日の色にそまつた顏が いまも悲しさうに私を見詰めてゐる

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