室生犀星

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みんな別れた 別れてしまへば何んでもない 青い苔のあるベンチの上で かう話しながら二人はわかれた そこから段段があつて 道路は一すぢになつて彼らは又出くはした 別れてしまへば何んでもない 二人は同時にさう考へて ちよいと微笑ひ合つて 寒さうに立ち停まるのもいやだつた で、そつけなく別れた 一人づつになつても べつに寂しくもなかつたのだ で、かれらはまつすぐに家へかへつた ひとりは電車で ひとりは徒歩で べつべつな町をあるいて行つた ふしぎなことには二人ともふきげんになり たよりなささうな ぐつたりと電車に首垂れてゐた も一人は歩きながら 荒れた町をながめながら うそさむい顏をしてゐた どちらも會ふことがなかつた どちらも心では別れて了へば何んでもない と考へてゐた

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