都會の川

室生犀星

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雨は靜かに降りそそいでゐる 川の上は森として こまかい音を立ててゐる をりをり電車がどんよりした上に影をうつしてはゆく 幾艘となく荷足船がつながれてゐる 船は動いてゐるやうで そのままつながれて 雨にうたれてゐる 屋根庇から烟がひとすぢ上つてゐる 窓から橋の上の電車を一人の子供が いつまでも熱心にながめてゐる 往來の人かげもみな水の上にうつつては しづかに消えてゆく 烟はやはり上つてゐる 子供の母おやらしい女が ひと束の青い葱を洗つてゐる 總てがしんとした雨中で橋のかげになつてゐるのである

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