室生犀星

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大きな芭蕉の廣葉がゆらついてゐると 大きな魚か何かが 泳いでゐるやうな氣がする わけても蒼蒼した空氣が重なつてゐる晩方は 海のそこのやうで 樹にしろ下草にしろ みな波の中にゆれてゐるやうだ こまかい葉ほど 波のなかに震へてゐるやうに見える 私は窓からそこを覗く 靜かな海で うみ草で一杯だ 月夜になる それがなほ蒼みを積みかさねて 空までつづく 深然として 窓だけが開いてゐる

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