我庭の景

室生犀星

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あやめが舟のやうに浮んでゆれてゐる 水盤に影がうつつて そのまはりは芝です あをあをとした纖細な高麗芝です。 すこし離れて朝鮮瓦の唐獅子が 苔むしたまま 青い雨にうたれてゐる。 わたしは古い石燈籠が一つほしいのです 苔のある 古い土と調和のとれた純日本風な石燈籠がどつしりと据ゑたいのです 楓と杏とのの陰に――。 そこは一番深い緑につつまれてゐて きつと石に青みを着せるやうな 雨露がふるからです。 古い土や石は 日本風なわたしの室と調和します。

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