日曜日

永井荷風

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ゆうべの雨にそぼぬれて 恋猫ひとりとぼ/\と かへりて見ればわが家の 窓はとざされ戸口さへ 錠のさされてゐたりけり。 恋も忘るゝひもじさに 声をかぎりに呼びしかど 家の中には人気なく 騒ぐねずみの音ばかり 戸口あくべきやうもなし。 やがて鼠の声きけば わが家の人はのこりなく 主人も妻も飯焚も あそびに出でし日曜日 のどけき日足の猶高し。 猫はせんすべ尽きはてゝ 破れし恋のおもひでを せめては夢と軒のした つかれて寝れば屋根の上 女夫鴉のわらふ声。

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