落花の風

永井荷風

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庭のうぐひすは ふる里の谷間をおもひて啼く。 われはかへらぬむかしを思ひて歎く。 庭のうぐひすは 谷間にかへる日もあらむ。 その声なめらかにして歓びあり。 わが嘆きには 絶えし望の遣瀬なければ その声枯れて聞く人もなし。 琴の絲 一たび断えては 誰かつぐべき。 わかき日のよろこび 一たび過ぎては いつか還らむ。 君きかずや。 今日鬢絲禅榻畔。 茶烟軽颺落花風。

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