第一課 貧乏
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太陽は斜に、桐の木の枝のところにそこらをぼやかして光つてゐた。檜葉の陽かげに羽虫が飛んで晴れた空には雲一つない。見てゐれば、どうして空が青いのかも不思議なことになつた。縁側に出て何をするのだつたか、縁側に出てみると忘れてゐた。そして、私は二時間も縁側に干した蒲団の上にそのまゝ寝そべつてゐたのだ。
私が寝そべつてゐる間に隣家に四人も人が訪づねて来た。何か土産物をもらつて礼を言ふのも聞えた。私は空の高さが立樹や家屋とはくらべものにならないのを知つてゐたのに、風の大部分が何もない空を吹き過ぎるのを見て何かひどく驚いたやうであつた。
雀がたいへん得意になつて鳴いてゐる。どこかで遠くの方で雞も鳴いてゐる。誰がきめたのか、二月は二十八日きりなのを思ひ出してお可笑しくなつた。
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