箱芝居

小熊秀雄

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なんといふ面白い世の中だ みたまへ ぎつくり。……ばつたり。 ぎつくり。……ばつたり。    × たくさんの人形が右足をあげ 左足をあげ まことに、まことに 巧に歩いてゐるではないか    × みたまへ ずつと向ふから 白い葬送馬車が まつしぐらに街をやつてくる あの馬車の中には 蝶つがひのはづれた人形が しづかに/\ ねんねをして居るのです    × ああ。街に玩具の月が出ると 燐寸箱を出たり入つたり 人形どもはキーキー わけのわからぬ咽喉笛を鳴らす    × あれ 塗りのはげた女の人形は 念入りにこてこてご粉を塗りつけ ぎつくり。……ばつたり ぎつくり。……ばつたり 右足をあげ左足をあげ    × ああ悩ましい箱芝居である

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