二人の生活
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柔軟な暮しの中から
なにか房々とした葡萄のやうなもの
魚の瞳と連なるものを発見した
そして久しく憎み合ひながら
ともに暮してゐる女あり。
あゝすでにお前と私とは
惰性の深みを手を組んでゐる
お前の意志は向ふの野原に
私の意志はこちらの樹の上に
それで不思議に優しいへだたりを
往来してゐる可憐なふたり。
繋ぐものは灰のやうな乾いた麻繩ではない
鈴のやうな結晶を渉りあるくものである。
とかくうなだれ勝な頤に手を添へて
たがひに眼を見合すことや
また終日蟹のやうに向ひ合ひ坐つてゐる。
男は怠惰ではない
女よ、その懶さを責めるなかれ
脳はただお祝のやうに
無邪気な嬉しさで満ち足り
身を動かすことを重大に考へ
うねり、光り、華麗に、
坐りこんでゐるのであれば。
やがて何の跡形もなく
お前も私も散つてしまふであらう
あゝ、窓の外には
暗い冷たい幔幕が垂れ下り
花の上にも夕暮れがせまつてきた
艶々しい潮の上の
ただ一瞬の光りもの
葡萄の房のやうな帆をあげてゐる。
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