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小熊秀雄

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けさも私は寝床のなかで 不眠症と神経過労の眼を動かし 病院船の 患者のやうにをちついて 文明病の処方箋を読みました そこに盛られたさまざまの薬 恐怖と醜悪の散楽 みな利きめの ありすぎた人々の報告です。 強盗殺人犯の脱監 密通した令夫人 鉄道線路の飛び込自殺 ××氏の毒物嚥下 山林中の強姦未遂。 しづかな朝の単調に わづかな胡椒を 振りかけたばかりの食膳 私の味覚はそんなぐらゐの 甘つたるい料理は 喰ひあきた舌なのです もつと もつと 腕利きのコックを雇つて下さい この現代の味覚は もるひね愛好者の たゞれた舌です ねばりこく脂こい 情感にふるへるやうな わたしは料理をのぞむのです。 私の愛読する処方箋よ もつと奇抜な 構想の報告をしたりしたいのです。

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