硝石を摺る

小熊秀雄

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尻尾のないやせ犬が 藁小屋の中にそつとしのんで そのまゝ 舌をべろりとだして かがまつたまゝ死んでゐる 屍体の胃袋になんにもない    × おや……それはなんでもない あたりまいのことだよ    × かん、かん、かん 帽子をかむらぬよぼよぼの 男をてらし 真夏のお日さまは すきつ腹をいらだゝせる 男はあを向けにひつくり返つて かがまつたまゝ死んで居る    × おや……それはなんでもない あたりまいのことだよ    × ぎら/″\/″\ 狂くはしくよく光るまさかり 街角でそつと獲物を待つても から、から、から だあれも見えない地下室で そつと 擂鉢で硝子をすつても    × おや……それはなんでもない あたりまいのことだよ

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