威嚇者

大手拓次

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わたしの威嚇者がおどろいてゐる梢の上から見おろして、 いまにもその妙に曲つた固い黒い爪で 冥府から来た響の声援によりながら 必勝を期してわたしの魂へついてゐるだらう。 わたしはもう、それを恐れたり、おびえたりする余裕がない。 わたしは朦朧として無限とつらなつてゐるばかりで、 苦痛も慟哭も、哀れな世の不運も、拠りどころない風の苦痛にすぎなくなつた。 わたしは、もう永遠の存在の端へむすびつけられたのだ。 わたしの生活の盛りは、空気をこえ、 万象をこえ、水色の奥秘へひびく時である。

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