うつろなる五月

佐藤春夫

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世に美しき姉妹ありき。わがよき友となりしが、程なく故ありてまた相見るべくもなしと告げ來りしかば。 君を見ずして 何の五月 きらめける空いたづらに いぶせき窓をひらくとも ひるがへるかの水色の裳見えず。 君なくして 何の薔薇 みどりの木かげいたづらに 求めたづねて行き行くとも 涼かぜのかの笑ひをきかず。 うつろなる心に ひねもす おん身たちの影を描き、思へ わが香りなき安煙草の むなしく空に消ゆるさまを。

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