佐藤惣之助

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ふかい大きい夜は水と霧にしめり 燦燦たる私の感覺圖を 星くさい石のつめたい匂ひでいつぱいにする 宿屋中の人人はさながら幽靈のやうに あちこちと燈火の紅のなかをながれ もうろうとした白い鳥のやうにも見える ただ私には水音がしみ入り、しみ入り 霧がもてるうすい自然感は人にすりより 白い皿をはひ、浴衣にふれ 金屬のやうなひびきでものいふ女らを ちらちらする水と燈の中にうかべて 涙ぐましき宵の冷情を發散せしめる。 (遠刈田温泉にて)

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