或夜(『自分は見た』収録・同題第1篇)

千家元麿

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父の家を出づれば 夜は悲し 代々木の原の上に 涯しなく高く闇は佇み、落ちかゝり 星の光りも僅かに力無し 土手の上の線路の側を 人は徘徊し 悲しく犬の遠吠は聞え 使に出された小き女中が 土手の下の闇をすれちがひ走りぬ 白き犬と共に、

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