江戸河にて

薄田泣菫

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纖雲縹に長くながれ、 落つる日黄ばめるこの夕暮、 おもむきあるかな、筏浮けて 舟人河瀬に輕くさせり。 靜けき夕の心やりか、 欵乃一ふし歌ひさして、 ほのかに笑まひぬ、水馴棹に くだくる小波をあとに見つつ 人皆煩らふ空のもとに、 自然の愛子か、君はひとり 赤丹穗に見る顏の色に、 心の平和うかがわれぬ。 似るものもあらぬ羨ましさ、 暫しはたゆたへ、なう舟子よ。

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