冬の日

薄田泣菫

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新甞の祭り日なりき、 午さがり、曝れし河原に、 老御達、『冬』こそたてれ、 身ぞたゆげに。 數へ日のこころ細さや、 涙眼なる日のたたずまひ、 物の影、淡げに搖れて、 うるみ色に。 雲の襞ほのかに鈍み、 空ひくに滑るゆるかさ、 ありし世のおもひでぐさの 榮、また、空華。 みだれ伏す根じろ高萱、 老しらむ末葉のそそけ、 氣を寒み、失聲かすけく 音こそいため。 今し、日は思ひ消ゆらし、 面隱し、――うは曇りして、 夕時雨しのびに泣くや、 欷歔よよと。 かかる日よ、在巣の鳥も、 うらびれし目路の眺めに、 さへづりの徒音を絶えて、 俯居すらめ。 束の間や、――やがて日直り、 冬の日はほほ笑みそめつ。 青じろき頬ぞ、鼻じろむ 面ほでり。 樹に、莖に、伏葉に、石に、 泣き濡れしうるほひ映えて 嘆かひの似るものもなき うつくしさや。 日の心地、いまの憂身に、 そのかみの美き日をしのぶ さびしさに、笑みし子ならで、 誰か解かめ。

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