心げさう

薄田泣菫

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霜月ひと日、朝戸出に、小野の木守は、 莿高膚の阿利襪樹の根に散りぼひし 實のあり數に驚きて、つと立ちかへり、 目無し籠を後ろ手にふた行くごとく、 ただ目に人を見し時は、なよび姿の 耀ひわたる清らさに、戀は退りて、 ふくろ心の奧ぶかに隱るとせしが、 落ちゐて、やがて花やかに穗に現はれぬ。

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