蟋蟀(『泣菫詩抄』収録・同題第2篇)
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蟋蟀在堂
役車其休
今我不樂
日月其※ 唐風
自然のこころの清きかなや、
末葉にみだるる露に醉ひて、
靜けき夕のすさみとてや、
この草がくれに虫は鳴きつ。
手纏の眞玉とさゆる音色、
軒端にこぼるる榎の實みても、
眉根を開きて笑みぬべきを、
何をか煩らふ君が姿。
鏡と見るまで澄める空に、
顰をうつすも心なしや、
若紫なる色にしみて、
酌めども盡きざる酒もあるに。
溢るる涙を袖にけして、
しづかに甘露の盃を含め。
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