薄田泣菫

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彼方にけむれる森のあたり、 乳房によりそふ稚兒の如く 靜かに眠れる空の色も、 淺葱にしみゆくこの夕暮。 願ふは艶なる君と二人、 野末の逍遙心足りて、 情に燃ゆめる胸の中に 祕めつる小琴や彈きてみまし。 さらずば千種の花をともに、 さしそふ瑞枝にそよぎわたる 涼しき夕風髮にうけて、 霞に眠れる野邊の如く、 優なる姿に倒れ伏して、 ねざめぬ夢こそ切に願へ。

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