蛞蝓
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何知らず空はかなしび、
鈍いろのまぶしたるみて
しのび音に日ぞ泣きそぼつ。
朽ちばめるうつぼばしらに、
憂鬱の、あな父なし兒、
蛞蝓はふとむくめきぬ。
雨じめり落葉はふやき、
しめやかに土の香ひす。
そことなき物したはしさ。
雨だりの音びそびそと
樋はさぐり、樋はまた咽ぶ――
蛞蝓はなめりぬ、緩に。
寢はれつる身は水ぐみて、
病の如むくみぬ。産すは
冷かなるなほざりの夢。
灰色のあなたを針眼に
うかがひぬ、はた危ぶみぬ、
なめくぢのなま心わろ。
ありなしの暫にながらへ、
その間だに懶き身には、
おほ天もむなしき名のみ。
雨やみぬ。蛞蝓は、ふと
見ず。――ひとりうつぼ柱に
うつけたる歌の占象。
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