日ざかり(『泣菫詩抄』収録)
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季は夏なか、
日ぞ眞晝、
日ざしは麥の
穗にしらみ、
野なかの路に
またたきて、
濁酒の如、
湧きたちぬ。
牧の小野には、
並木立
腕だるげに
葉を垂れつ。
青ぶくれなる
水錆沼は、
めまぐるしさに
息だえぬ。
雲のひとひら、
たよたよと
噞喁ひゆきて、
ありなしに
やがては消えつ。
濃青なる
空や、虚なる
墓ならし。
水の面の水澁
氣をぬるみ、
蠑螈は涅に
くぐり入り、
爐土の香に
息むせて、
蛇はひそみぬ、
葉がくれに。
なべての上に
高照す
つよき苛責や、
あな寂し、
悔なき魂の
けだかさは、
げに水無月の
日ならまし。
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