爐中の人
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更くる夜の厨のさむさ、
冷えとほる灰にもたれて
火吹だるま、
翁びしまみの煤ばみ、
かりそめの火をはぐくみぬ。
ほのかなるぬる火のぬくみ、
胸の脈ゆたにむくみて、
火吹だるま、
初立ちし生命の日かな、
面はゆに火屑を吹きぬ。
はしり火のつぶやく心地、
ひしひしと夢はこぼれぬ。
火吹だるま、
すずろなる心の踴躍、
つぼ口のふとほくそ笑み。
火移りの火は慕ひ合ひ、
たはれてはまた火を孕む。
火吹だるま、
面ほでり汗ばむけはひ、
喘ぎつつかつ息づきぬ。
われとわが火は火を燒きて、
火ぞ燃ゆる―生のあくがれ。
火吹だるま、
醉ひ伏しぬ、醉のたのしび、
さあれ、また刹那の痛び。
なべてみな死にゆく夜半を、
黄金なすほのほの宮に、
火吹だるま、
常若のわが世を夢み、
やがてまた氣長に倦みぬ。
夜は更けつ、沈默の闇に
凍みわるる梲の疼き。
火吹だるま、
火は消えつ、灰にうもれて、
死骸のみか黒に冷えぬ。
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