小狐

薄田泣菫

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怠る僕を切に呼びて、 晝の間籬を固く結へど、 人なき折々しのび入りて、 小狐春に夜鳩をぬすむ。 一夜は宵より庭をめぐり、 三たびか鞭もて追ひしものを、 夜ふけて林檎の下葉がくれ、 守る身も忘れて夢に入れば、 こはまた、下枝の風にのりて、 語るよ、小狐聲も低く 母見ぬ闇路を庭にかくれ、 人の子戀ひ行く汝が身なるに、 雛鳩與へよ、否といはば、 翌くる夜鳴かまし、君が影に。

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