月見草の歌へる
本文の表示
夕づく日、黄金羽ぐるま、
海の宮、今かも沈め、
天つ軋み。
野づかさの草の淺みに、
まどろみの夢路は覺めぬ、
目こそひらけ。
夕霧は、身樣たゆげに、
目馴樹の木叢にまきて、
うしろ袈裟に。
青羽木菟、叉枝低に、
片眠り、言葉ずくなの
宿居すがた。
靜けさの野によみがへる
青をみな、身や幸魂の
月見小草。
見よ、かなた、森の木の間に、
うは白み、――ああ月白の
にほひ仄に。
いま、樹々の片枝の青み、
やがて、野のしろがね色や、
被衣兄姫。
ぢきたりす花の瞳子は、
日にあきて、日にしも笑みぬ、
紅顏童女。
似ず、わなみ若尼御前の、
夜籠りに、ささらえをとめ
見こそ惱へ。
身ぞ、姫が丈の垂り髮
花鬘、しづくや凝りし
こゝろまどひ。
姫か、また魂のおほ宮、
常世邊や、――無上涅槃の
嚴のむしろ。
焚きしむる花の蕚は、
夜の、やがて吾が世黄金の
齋ひ火盤。
くゆり香は、莖葉に蒸して、
聖り世の初夜の精進、
齋塲淨め。
靜こころ、下にゆらぎて、
魂むすび、――思ひぞあがる
醉ひの今や。
野の老狐踏みは折るとも、
えやは朽ちめ、身よ弱草の
聖ごころ。
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
月見草の歌へるの談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
月見草の歌へるに寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。
まだ批評・講評はありません。
ログインすると批評・講評を書けます。