*筑波紫

薄田泣菫

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夜は明けぬ。二の新代の朝ぼらけ、 國の兄姫の長すがた、富士こそ問へれ、 しろがねの被衣も搖に、『やよ筑波、 八十伴の緒は玉ぶちの冕冠も高に、 天の宮御垣は守るに、いかなれば、 異よそほひの東人と、汝やはひとり、 玉敷の御蔭の庭も見ず久に、 下なる國の暗谷につくばひ居るや。』 筑波根の東聲して、『天の宮、 御使ひ姫は汝こそあれ、われは國造、 高翔くる日の羽車をともなひて、 朝なゆふなに七度の國見の反身、 『汝が希望、あくがれ、吟咏、高わらひ、 努力、若やぎ、また愛の華座はここに。』と、 むらさきの常若すがた花やかに、 ほにこそ揚ぐれ、人の世の、あはれ烽火を。』 *詩集『筑波紫』に序す

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