*朝顏姫の嘆き
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黄金樞の音こそすれ、
いま『曙』のいでますと、
天の御蔭の一の門は、
戸をかもあくる。
どよみは胸を拊きて、
日の追懷ぞめざめぬる。
ああ曙や、なつかしき
唐棣のころも。
さしぐむ目の濕ひに、
目耀ふ天の羽ぐるまや、
ああ曙のうはじらむ
唐棣のころも。
美しかりしそのかみの
夢の香ほのに身に泌みて、
手弱腕の卷鬚ぞ、
わななき撓む。
天の御蔭の宮づとめ、
朝顏姫の名に呼ばれ、
七座す星の群にして、
舞ひしや、むかし。
おほみ淵醉の良夜に、
日子に婚ひてし日の初め、
嚴のむしろを禁められて、
花とし生ひつ。
花とを咲けど、『くらやみ』の
牢獄の窓に俯居して、
ああ曙や、夜もすがら
君をこそ待て。
君を待つ間をゆるされに、
天の足日をかいまみる
ありなし時や、せつなさの
心もすずろ。
はかなき今の身柄には、
ひかりは久に堪へなくに、
ああ曙や、まばゆさに、
目こそ盲ひぬれ。
黄金向日葵、日移りに、
日の轍をこそ趁ふといへ、
わなみ盲目のうなだれて
方もぞ知らぬ。
『悲愁』は若き孕婦にて、
日なみに五百の眼をはらみ、
ああ曙や、目伸して
君を待たまし。
*朝顏姫は七夕七姫のうちの
ひとりなり
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