海のほとりにて(『白羊宮』収録)

薄田泣菫

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鈍なるみ空、鈍なる海、 ああ身ぞひとり、 入波ゆたにたゆたひて ゆふべとなりぬ。 氷雨の海の海神は、 椰子の實熟るる 常夏かげの國戀ひて、 胸さわぐらし。 冲の遠鳴、潮の香、―― ああ醉ごこち、 いづくは知らず、靈魂の 故郷こひし。 わが世は知らぬかなたへと、 日に、また夜はに、 あくがれまどふ野心の 努力の羽搏。 『時』は頓死れて死にぬとも、 遂の日までは、 常若にしもあらまほし、 わだつみとわれ。

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