文士というサムライ

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豪傑という者がいたと 中野重治は詩に書いて むかしの豪傑をたたえた 余もまた豪傑を礼讃する 余は左様 豪傑にあらず されど文士というサムライなれば この期に及んで ジタバタ卑怯未練の振舞いはできぬ さあ来い 者ども いざ参れ 死の手下ども 殺したくば殺せ 切りたくば切れ いさぎよく切られてやらあ 余は剣豪小説の主人公のごとくに 汝らをエイヤアと退治ることはできぬ 逆に悪玉のようにバッサリと切られるであろう そのいさぎよさを貴しとする ただし切られても切られても 註文通りには死なないで ハッタと汝らをにらみつけてくれよう 死神よ 汝のすることなすことを 余は執念く見つづけるであろう ここがむずかしいところだ ただのサムライと違う文士の文士たるゆえんである ざまア見ろ これは汝でなく余が言うのである

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