元素智恵子
本文の表示
智恵子はすでに元素にかへつた。
わたくしは心霊独存の理を信じない。
智恵子はしかも実存する。
智恵子はわたくしの肉に居る。
智恵子はわたくしに密着し、
わたくしの細胞に燐火を燃やし、
わたくしと戯れ、
わたくしをたたき、
わたくしを老いぼれの餌食にさせない。
精神とは肉体の別の名だ。
わたくしの肉に居る智恵子は、
そのままわたくしの精神の極北。
智恵子はこよなき審判者であり、
うちに智恵子の睡る時わたくしは過ち、
耳に智恵子の声をきく時わたくしは正しい。
智恵子はただ嘻々としてとびはね、
わたくしの全存在をかけめぐる。
元素智恵子は今でもなほ
わたくしの肉に居てわたくしに笑ふ。
昭和二四・一〇
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
元素智恵子の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
元素智恵子に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。
まだ批評・講評はありません。
ログインすると批評・講評を書けます。