花くらべ

上田敏

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燕も來ぬに水仙花、 大寒こさむ三月の 風にもめげぬ凜々しさよ。 またはジュノウのまぶたより、 ヸイナス神の息よりも なほ﨟たくもありながら、 菫の色のおぼつかな。 照る日の神も仰ぎえで 嫁ぎもせぬに散りはつる 色蒼ざめし櫻草、 これも少女の習かや。 それにひきかへ九輪草、 編笠早百合氣がつよい。 百合もいろいろあるなかに、 鳶尾草のよけれども、 あゝ、今は無し、しよんがいな。

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