戀の玉座

上田敏

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心のよしと定めたる「力」かずかず、たぐへみれば、 「眞」の唇はかしこみて「望」の眼、天仰ぎ 「譽」は翼、音高に埋火の「過去」煽ぎぬれば 飛火の焔、紅々と炎上のひかり忘却の 去なむとするを驚し、飛び翔けるをぞ控へたる。 また後朝に卷きまきし玉の柔手の名殘よと、 黄金くしげのひとすぢを肩に殘しゝ「若き世」や、 「死出」の揷頭と、例も例もあえかの花を編む「命」。 「戀」の玉座は、さはいへど、そこにしも在じ、空遠く、 逢瀬、別の辻風のたち迷ふあたり、離りたる 夢も通はぬ遠つぐに、無言の局奧深く、 設けられたり。たとへそれ、「眞」は「戀」の眞心を 夙に知る可く、「望」こそ、そを預言し、「譽」こそ そがためによく、「若き世」めぐし、「命」惜しとも。

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