めつき
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憐なる疲れたるこのめつき、
汝等のめつき、わがめつき、
今は亡きめつき、今に來るべきめつき、
終に來ずして已むとも、實は世に在る目付。
日曜の日、貧者を訪ふ如きもあり、
家無き病人の如きもあり、
白布に被はれたる牧に羊の迷ふが如きもあり。
また類罕なる目付もあり、
圓天井の下、閉ぢたる廣間の内、童貞の刑に就くを眺むる如きもあり。
何ともわかぬ悲を思はしむる目付あり。
即ち工場の窓に居る農民を、
機織となりし園丁を、
蝋人形の見世物の夏の晝過を、
庭に居る病人を見る女王の心を、
森の中なる樟腦の香を、
祭の日、塔に王女を押籠むるを、
水温き運河の上、七日七夜を舟にて行くを思はしむ。
憐み給へ、收穫時の病人のやうに、小股にて出て來る目付を。
憐み給へ、食事の時に迷兒となりしやうなる目付を。
憐み給へ、外科醫を仰ぎ見る怪我人の目付を、
そのさま、暴風雨の下の天幕に似たり。
憐み給へ、誘惑せらるる處女の目付を、
(噫、乳の流は闇に逃げ入る、
白鳥は蛇の群のなかに死したり。)
また憐み給へ、終に屈したる處女の目付を。
路無き沼に棄てられし王女の姿かな。
また暴風雨の中を照り輝ける諸船の眞帆あげて遠ざかり行くが如き目付もあり。
また何處にか他に居る事能はずして苦む目付あり、げに憐むに堪へたるかな。
殆ど區別無く而も實は相異れる苦悶の目付。
何人も終にそれと曉り得ぬ目付。
殆ど無言なる目付。
また憐なる囁の目付、
押殺されたる憐の目付。
あるものの中に在れば、病院となりし古城に居る心地す。
また他のものは尼寺の小さき芝生の上に百合の紋章打つたる天幕を張りたる如し。
更に他のものは温室に收容したる負傷者の風ありて、
また更に他のものは病人無き大西洋定期船に乘組みたる看護の尼の姿あり。
噫すべてかかる目付を眺め知り、
かかる目付を受け入れて、
かかる目付の應接におのが目付を費ひはて、
それより後は、わが眼をもまた閉ぢえざるとは。
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