世間のある人人には……
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世間のある人々には、その日々の消光が
ひとりで牌を打つパシアンスの遊の如く、
またはすつかり覺えこんだ日課を
夢うつゝで譫語に言ふ如く、
またはカフェエに相變らずの顏觸と
薄ぎたない歌留多札を弄ぶやうだ。
ある人々には、一體、生はごく手輕な
造作も無い尋常一樣の事で、
手紙を書いたり、一寸は「あそび」もしたり、
とにかく「用事」は濟せてゆく。
してその翌日も同じ事を繰返して、
昨日に異らぬ慣例に從へばよい。
即ち荒つぽい大きな歡樂を避けてさへゐれば、
自然また大きな悲哀もやつて來ないのだ。
ゆくてを塞ぐ邪魔な石を
蟾蜍は𢌞つて通る。
しかし、君、もし本當に生きてゐたいなら、
其日其日に新しい力を出して、
荒れ狂ふ生、鼻息強く跳ね躍る生、
御せられまいとする生にうち克たねばならぬ。
一刻も息む間の無い奇蹟を行つてこそ
亂れそそげたこの鬣、
汗ばみ跳むこの脇腹、
湯氣を立てたるこの鼻頭は自由に出來る。
君よ、君の生は愛の一念であれ、
心殘の銹も無く、
後悔の銹も無く、
鋼鐵の清い光に耀け。
君が心はいつまでも望と同じく雄大に、
神の授の松明を吝むな。
塞ぎがちなる肉身から雄々しい聲を噴上げよ、
苦痛にすべてうち任せたその肉身から、
從容として死の許嫁たる肉身から叫べ。
寶玉は鑛石を破つて光る。
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