黄昏
本文の表示
夕暮がたの蕭やかさ、燈火無き室の蕭やかさ。
かはたれ刻は蕭やかに、物靜かなる死の如く、
朧々の物影のやをら浸み入り廣ごるに、
まづ天井の薄明、光は消えて日も暮れぬ。
物靜かなる死の如く、微笑作るかはたれに、
曇れる鏡よく見れば、別の手振うれたくも
わが俤は蕭やかに辷り失せなむ氣色にて、
影薄れゆき、色蒼み、絶えなむとして消つべきか。
壁に掲けたる油畫に、あるは朧に色褪めし、
框をはめたる追憶の、そこはかとなく留まれる
人の記憶の圖の上に心の國の山水や、
筆にゑがける風景の黒き雪かと降り積る。
夕暮がたの蕭やかさ。あまりに物のねびたれば、
沈める音の絃の器に、桛をかけたる思にて、
無言を辿る戀なかの深き二人の眼差も、
花毛氈の唐草に絡みて縒るゝ夢心地。
いと徐ろに日の光隱ろひてゆく蕭やかさ。
文目もおぼろ、蕭やかに、噫、蕭やかに、つくねんと、
沈默の郷の偶座は一つの香にふた色の
匂交れる思にて、心は一つ、えこそ語らね。
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
黄昏の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
黄昏に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。
まだ批評・講評はありません。
ログインすると批評・講評を書けます。