ある医師
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銀座でいきなり
こえかけられて
お茶のごちそうにあずかり
巻たばこなんぞすすめられたりして
すっかりこちらが恐縮していると
こんどは名刺を
差し出された
なにかのときには是非どうぞと云うのだ
みると名刺には
医師とあった
ぼくはひそかにかれの
医専時代を知っていた
なんども繰り返し落第していたのだが
もうその心配もなくなったのか
医師はいかにもせいせいと
そこに社会を
まるめるみたいにして
生えたばかりの
鼻ひげをつけていた
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