鼻の一幕
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かつておまえは見て言った
もしも自分があんなふうに
鼻がかけてしまったら
生きてはいまいとおまえは言った
生きてはいまいとおまえは言ったが
自分の鼻が落ちたとみると
なんとおまえはこう言った
命があれば仕合わせだと言った
命があれば仕合わせだと
おまえは言ったがそれにしても
物のにおいがわかるのか
鼻あるものらがするみたいに
この世を嗅いだり首をかしげたりするのだが
どうやらおまえの出る番だ
いかにも風とまぎらわしげに
おまへは顔に仮面をして
生きながらえた命を抱きすくめながら
鼻ある人みたいに登場したのだが
もののはずみかついその仮面を外して
きつねの色だか
たぬきの色か
鼻の廃墟もあらわな姿をして
敗戦国のにおいを嗅いだ
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