ひそかな対決

山之口貘

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ぱあではないかとぼくのことを こともあろうに精神科の 著名なある医学博士が言ったとか たった一篇ぐらいの詩をつくるのに 一〇〇枚二〇〇枚だのと 原稿用紙を屑にして積み重ねる詩人なのでは ぱあではないかと言ったとか ある日ある所でその博士に はじめてぼくがお目にかかったところ お名前はかねがね 存じ上げていましたとかで このごろどうです 詩はいかがですかと来たのだ いかにもとぼけたことを言うもので ぱあにしてはどこか 正気にでも見える詩人なのか お目にかかったついでにひとつ 博士の診断を受けてみるかと ぼくはおもわぬのでもなかったのだが お邪魔しましたと腰をあげたのだ

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