表札
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ぼくの一家が月田さんのお宅に
御厄介になってまもなくのことなんだ
郵便やさんから叱られてはじめて
自分の表札というものを
門の柱にかかげたのだ
表札は手製のもので
自筆のペン字の書体を拡大し
念入りにそれを浮彫りにしたのだ
ぼくは時に石段の下から
ふり返って見たりして街へ出かけたのだ
ところがある日ぼくは困って
表札を取り外さないではいられなかった
ぼくのにしてはいささか
豪華すぎる表札なんで
家主の月田さんがいかにも
山之口貘方みたいに見えたのだ
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