結婚
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詩は僕を見ると
結婚結婚と鳴きつづけた
おもふにその頃の僕ときたら
はなはだしく結婚したくなつてゐた
言はば
雨に濡れた場合
風に吹かれた場合
死にたくなつた場合などとこの世にいろいろの場合があつたにしても
そこに自分がゐる場合には
結婚のことを忘れることが出來なかつた
詩はいつもはつらつと
僕のゐる所至る所につきまとつて來て
結婚結婚と鳴いてゐた
僕はとうとう結婚してしまつたが
詩はとんと鳴かなくなつた
いまでは詩とはちがつた物がゐて
時々僕の胸をかきむしつては
箪笥の陰にしやがんだりして
おかねが
おかねがと泣き出すんだ
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