雲の下

山之口貘

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ストロンチウムだ ちょっと待ったと ぼくは顔などしかめて言うのだが ストロンチウムがなんですかと 女房が睨み返して言うわけなのだ 時にはまたセシウムが光っているみたいで ちょっと待ったと 顔をしかめないではいられないのだが セシウムだってなんだって 食わずにいられるもんですかと 女房が腹を立ててみせるのだ かくて食欲は待ったなしなのか 女房に叱られては 眼をつむり カタカナまじりの現代を食っているのだ ところがある日ふかしたての さつまの湯気に顔を埋めて食べていると ちょっとあなたと女房が言うのだ ぼくはまるで待ったをくらったみたいに そこに現代を意識したのだが 無理してそんなに 食べなさんなと言うのだ

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