西の家
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馬車屋馬車屋と
土地では言うのだが
馬車屋と言うといやがるそうで
ぼくのところではその馬車屋のことを
西の家と言っているのだ
西の家は馬車屋なので
荷馬車があって
栗毛の馬などがいて
いかにも物を運ぶ仕掛になっているのだが
馬車屋であることそのことばかりが
西の家の仕事なのではないのだ
かぼちゃはつくる
さつまはつくる
麦はつくる
米はつくるで
つくるたんびのその季節のものを
お手のものの馬車に盛りあげて
栗毛の馬がそれを運ぶのだ
ある日
杉木立のとろで
西の家の馬車に出会した
馬車には老婆がひとりのっかっていて
毛布にくるまってうなじを垂れているのだ
孫は手綱をふりふり
町の医者までと言うのだ
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