牛とまじない

山之口貘

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のうまくざんまんだばざらだんせんだ まかろしやだそわたようんたらたかんまん ぼくは口にそう唱えながら お寺を出るとすぐその前の農家へ行った そこで牛の手綱を百回さすって また唱えながらお寺に戻った お寺ではまた唱えながら 本堂から門へ門から本堂へと 石畳の上を繰り返し往復しては 合掌することまた百回なのであった もう半世紀ほど昔のことなのだが 父は当時死にそこなって 三郎のおかげでたすかったと云った 牛をみるといまでも 文明を乗り越えておもい出すが またその手綱でもさすって きのこ雲でも追っ払ってみるか のうまくざんまんだばざらだんせんだ まかろしやだそわたようんたらたかんまん

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