牡丹(『晶子詩篇全集』収録・同題第1篇)

与謝野晶子

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ヹルサイユ宮を過ぎしかど、 われは是れに勝る花を見ざりき。 牡丹よ、 葉は地中海の桔梗色と群青とを盛り重ね、 花は印度の太陽の赤光を懸けたり。 たとひ色相はすべて空しとも、 何か傷まん、 牡丹を見つつある間は 豊麗炎※の夢に我の浸れば。

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