ひるまへ

与謝野晶子

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てれ、れん、れんと鳴り出した。 つて、れん、れんと鳴り出した。 それは傴僂のマンドリン、 昼まへに来るマンドリン 歌もうたやるマンドリン。 窓の硝子に寄つたれば、 白いレエスの冷たさよ。 お城の壁に紅葉した、 蔦の葉のよな襟かざり。 上を見上げる襟かざり。 ちり、りん、りんと一スウの 小い銅貨が敷石の 上で立てたる走り泣き。 初めのお客は誰れであろ、 わたしも投げてやりませう。 今朝の夜明の四時過ぎに、 誰れかとしたる喧嘩から、 ずつと泣いてたお隣の、 夫人の顔をちよいと見た。 向うもわたしをちよいと見た。 思はず髪を引き入れた、 白い四階の窓口へ、 (巴里は今日も薄曇り) 湿つた金薄を撒くやうに、 アカシヤの葉が散りかかる。

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