帰途

与謝野晶子

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わたしは先生のお宅を出る。 先生の視線が私の背中にある、 わたしは其れを感じる、 葉巻の香りが私を追つて来る、 わたしは其れを感じる。 玄関から御門までの 赤土の坂、並木道、 太陽と松の幹が太い縞を作つてゐる。 わたしはぱつと日傘を拡げて、 左の手に持ち直す、 頂いた紫陽花の重たい花束。 どこかで蝉が一つ鳴く。

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