九段坂

与謝野晶子

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青き夜なり。 九段の坂を上り詰めて 振返りつつ見下ろすことの嬉しや。 消え残る屋根の雪の色に 近き家家は石造の心地し、 神田、日本橋、 遠き街街の灯のかげは 緑金と、銀と、紅玉の 星の海を作れり。 電車の轢り……… 飯田町駅の汽笛……… ふと、われは涙ぐみぬ、 高きモンマルトルの 段をなせる路を行きて、 君を眺めし 夕の巴里を思ひ出でつれば。

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