〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第100篇)

与謝野晶子

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師走の初め、都にも 今年は寒く雪ふりぬ。 出羽奥州の凶作地 如何に真冬のつらからん。 陛下の御代の臣たちよ、 人飢ゑしむること勿れ。 国には米の余れるに 恵みて分つすべ無きか。 市人たちよ、重ねたる 衣の一つを脱ぎたまへ。 飢ゑ凍えたる父母に その少女らを売らしむな。 彼等の子なる兵士らは 出でて御国を護れども、 ああ、その心、ふるさとの 家を思はば悲まん。 ともに陛下の御民なり。 是れよそごとか、ただごとか。 いざ、もろともに分けて負へ、 彼等の難は己が難。

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